台湾のソーシャルメディア上で、あるネットユーザーが党派色の強い地元メディアの「北朝鮮の警備艇が銃撃!中国漁船10隻、少なくとも3人死亡」というセンセーショナルな見出しを根拠に、中国漁民の違法操業や中国政府の情報隠蔽を糾弾する一連の「事実」を書き連ねていました。
これに対し、別の冷静な参加者が「双方の政府から公式な確認は一切出ていない」と客観的な事実を指摘したところ、投稿者は即座に「否定もしていないじゃないか!」と反論しました。
「否定していない=事実」という幼稚な詭弁
「否定されていないから真実である」という論法は、論理学において古くから知られる典型的な**無知に訴える論証(argumentum ad ignorantiam)**の誤謬です。
この論法が通用するなら、誰に対しても「あなたは自分の知能指数が80以下であることを否定しますか?」と問いかけ、沈黙すれば「認めた」、反論すれば「言い逃れだ」と決めつける魔女裁判が成立してしまいます。
かつて歴史上の政治的粛清裁判で使われた「口を閉ざしているということは、告発を認めた証拠だ」という暴論と何ら変わりがありません。
国家がタブロイド紙のデマに一々対応しない理由
そもそも、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の最高指導部が、韓国のゴシップ紙や台湾の過激な党派メディアが書き立てた真偽不明の小競り合い報道に対して、公式に否定声明を出す義理などあるはずがありません。
自らの偏見や政治的立場を満たすためなら、客観的な証拠のない噂話を無批判に信じ込み、事実の確認を求める声を嘲笑する姿勢は、知的な退廃を意味します。健全な言論空間を維持するためには、願望と事実を厳密に区別するメディアリテラシーが不可欠です。
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