ネットショッピングの急速な普及に伴い、使い捨ての包装・梱包資材の消費量が急増し、環境や廃棄物処理への負荷が深刻化しています。こうした課題に対応し、環境負荷低減とサーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進するため、台湾政府(環境部)は2023年7月1日より「インターネット通販における包装資材の使用制限および実施方式」を正式に施行しました。
この新法規では、EC小売事業者が使用する梱包資材の材質や包装方法について具体的な基準が設けられています。本稿では、事業者が遵守すべき規制内容と実務上の重要ポイントを解説します。
新制度では、事業者の資本金や事業規模に応じて以下の3段階に分類され、段階的な規制が適用されます。
- 小規模事業者(すべてのB2Cネット通販事業者): 規範A(資材基準)を遵守。
- 中規模事業者(資本金5,000万台湾元以上の事業者): 規範A+規範B(資材基準+包装重量比率制限)を遵守。
- 大規模事業者(資本金1億5,000万台湾元以上の事業者): 規範A+規範B+規範C(資材基準+包装重量比率制限+年間削減目標)を遵守。
規範A:包装資材の材質基準
法規に基づき、ネット通販事業者は環境配慮型資材を採用することが義務付けられ、ポリ塩化ビニル(PVC)を含む梱包材の使用は全面禁止となります。
- プラスチック製梱包資材・緩衝材: 配送袋・プラスチック箱、および緩衝材(エアーキャップ、エアークッション、気泡緩衝材など)は、再生プラスチック(リサイクル原料)の配合率が25%以上でなければなりません。
- 見直すべきプラスチック資材:
- 宅配袋(破袋バッグ):従来PEやPVCが混用されていたため、PVC含有資材の完全排除が必要。
- 気泡シート・エアークッション:PVCを排除し、再生原料25%以上を担保すること。
- 梱包用テープ:OPPまたはPVCが主流でしたが、PVCテープは使用禁止。
- 段ボール・紙製包装資材: 段ボール箱、板紙製品、パルプモールド緩衝材などは、未晒しの原色(クラフトカラー)を優先し、古紙パルプ配合率は90%以上(B2規格以上)であることが求められます。
- 主な紙質規格と古紙配合率:
- 中芯原紙:古紙配合100%
- B4規格:古紙配合100%
- B2規格:古紙配合90%以上(新基準に適合)
- A規格:古紙配合80〜85%(外装配送用として使用する場合は配合率の確認が必要)
規範B:包装重量比率の制限(過剰包装の禁止)
中規模および大規模のEC事業者は、過剰包装を防ぐため、商品総重量に対する梱包材の重量比率を以下の基準以下に抑える必要があります。
- 総重量250g以上〜1kg未満: 梱包資材の重量比率40%以下
- 総重量1kg以上〜3kg未満: 梱包資材の重量比率30%以下
- 総重量3kg以上: 梱包資材の重量比率15%以下
規範C:年次削減目標と循環ボックスの導入
大規模事業者(資本金1億5,000万台湾元以上)には、中長期的な資材削減とリユースを義務付ける年次目標が設定されています。
平均梱包資材の減量率目標
- 2024年(民国113年): 25%以上の削減
- 2025年(民国114年): 30%以上の削減
- 2026年(民国115年): 35%以上の削減
循環利用可能な配送箱・バッグ(リユース容器)の使用率目標
- 2024年(民国113年): 2%達成
- 2025年(民国114年): 8.5%達成
- 2026年(民国115年): 15%達成
違反時の罰則規定
基準に違反した事業者には、台湾の廃棄物処理法に基づき過料が科されます。
- PVC含有資材の使用: 1,200〜6,000台湾元の過料。
- 重量比率超過や減量目標未達成: 3万〜15万台湾元の過料。
- 是正勧告に従わない場合: 期限内に改善されない場合、日ごとの連続過料が科されるほか、悪質なケースでは操業停止や営業停止処分が下される可能性があります。
実務上の注意点と考察
この規制の主目的は、過剰包装の削減と環境負荷の少ないサステナブルなEC産業の育成にあります。事業者側にとっても、環境規制への対応は企業の社会的責任(CSR)を果たす上で欠かせない取り組みです。

実務上の留意点として、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 既存在庫の取り扱い: 2023年7月1日以前に調達済みの梱包資材については、資源の無駄を防ぐため使い切ることが認められています。7月1日以降に新規発注する資材から新基準を徹底する必要があります。
- 「循環箱」の定義: 自社で回収した単なる中古段ボールは、制度上の公認「循環箱(リユース容器)」とはみなされません。トレーサビリティのある返却システムを備えた正規の仕組みが必要です。
- 原箱出荷(メーカー元箱配送): 工場出荷時のパッケージに直接配送伝票を貼って発送する場合、外箱は「製品自体」とみなされ、梱包比率規制の対象外となります。規制対象となるのは、配送のために追加された外装袋や緩衝材などの「梱包材」です。
事業者一人ひとりが法規制を遵守し、環境に配慮したグリーンな物流体制を整えることが、持続可能な未来に向けた確実な一歩となります。
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