近年、街角の野良猫(地域猫)に向けられる社会の視線は厳しさを増しています。給餌禁止の要求、通報、駆除を求める声が相次ぎ、小さな命を追い詰めています。

滑稽なことに、そうした声を上げる人々が、イスタンブールや日本の「猫島」で日向ぼっこをする猫の動画には熱心に「いいね」を押し、「癒やされる」と絶賛する姿をよく見かけます。

この極端な二重基準の根底には、現実を無視した特権的な「潔癖都市論」が横たわっています。街から野良動物を一掃すれば、都市が自動的に清潔で無欠な秩序を取り戻すと信じ込んでいるのです。

しかし、塀の上でくつろぐ猫ばかりを敵視する短絡的な傲慢さは、より危険で壊滅的な公衆衛生の死角を生み出します。人間が出す大量のゴミに寄生して地下世界を支配する、真の脅威を見落としているのです。

深夜の路地裏を歩けば、側溝のフタの下や飲食店の残飯バケツの周りに、無数のドブネズミが蠢いている現実に突き当たります。これは自然の生態系ではなく、人間が排出した膨大な生ゴミがコンクリートの地下に育て上げた「地下帝国」です。

アスファルトが土と植物を遮断する一方で、暗く湿って暖かい地下排水管網は、ネズミにとって文明社会における最高の要塞となりました。

人間によって完全に改変された人工環境において、原初の生態系などとうの昔に崩壊しています。野良猫は生態系を乱す侵略者などではなく、見えない地下の住人を抑え込む唯一の「天然のブレーキ」なのです。

街猫はネズミを捕殺するだけでなく、その存在自体が強力な防壁となります。

行動生態学の研究によれば、猫が特定のエリアに定着すると、尿や皮膚の分泌物の臭いによって地域一帯に「恐怖の防衛線」が築かれます。ネズミは猫の気配を恐れて採食行動を大幅に控え、過度のストレスから繁殖率すら激減します。この精神的な威嚇こそが、猫によるネズミ抑制の真髄です。

猫の排除を主張する人々は「在来野生動物の保護」を掲げ、猫を「侵略的外来種」と決めつけます。

しかし、人間が最初の舗装道路を敷いた瞬間から、都市は原生自然ではなくなっています。人工的な光害、ビルへの鳥の衝突、化学物質の汚染が渦巻く人工培養皿の上で、純粋な生態系の原生性を求めるのは非現実的な傲慢に過ぎません。

都市で野生動物を脅かしているのは人間の過剰開発であり、野良猫ではありません。さらに、都市の猫と野犬を同列に扱うのも致命的な過ちです。犬は群れで広範囲を移動し里山へ侵入しますが、猫は極めて強い縄張り意識を持つ単独行動動物です。

路地裏に住み着いた猫の行動圏は生涯を通じて半径数百メートルにとどまり、自発的に郊外の山へ遠征して狩りをすることはありません。地域に定着した猫は、自らの縄張りを守る歩哨として、外部からのネズミの侵入を食い止める壁となります。

猫を街から力づくで排除すれば、都市の支配権をネズミに明け渡すことになります。猫の駆除がもたらすのは清潔な街ではなく、ネズミの狂乱的な大増殖です。

生態学における「真空効果」は冷酷です。頂点捕食者が姿を消せば、抑圧されていたネズミは数週間のうちに爆発的に増加します。ネズミの毒餌や罠は一時的な対症療法に過ぎず、薬剤耐性の進化スピードに追いつくことはできません。

この防衛線を最大化する現実的な解決策は、管理された「定時定点の給餌」です。

清潔なフードを決まった時間に出し、食べ終わったら即座に片付けるルールを徹底すれば、ネズミの餌となる残飯は残りません。**そして十分に栄養を摂取した健康な猫こそ、最高のネズミ対策になります。**猫の狩猟は空腹からではなく、本能的な防衛とパトロールから行われるからです。健康な猫こそ、ネズミに対する鉄壁の砦となります。

安定した給餌は猫の移動を防ぎ、TNR(捕獲・不妊去勢・返還)やワクチン接種を円滑に進める唯一の鍵でもあります。猫を拒絶した都市が支払う代償は、ネズミの跳梁跋扈です。公衆衛生の現場において、現実的な共生こそが最善の知恵なのです。

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