先日Facebookを見ていると、日本在住のあるインフルエンサーが「台湾人が日本を旅行する際に守るべき食事マナー」として、同行者に料理を取り分けてはいけない、子どもと料理をシェアしてはいけない等々のルールを周知しているのを目にしました。

それを見て感じたのは、ただ一言「面倒くさすぎる」ということでした。日本人自身でさえ全員が実践しているか怪しい細かなルールを並べ立て、まるで日本から派遣された文化推進大使のような振る舞いです。

実際のところ、日本国内でも地域によって文化や慣習は異なりますし、文化と呼ぶほどでもない単なる生活習慣の違いにすぎないものも多いのです。外国人である旅行者が、わざわざ自らに過剰に高いハードルを課して縛られる必要などまったくありません。

「立派で非の打ち所がない人間にならなければならない」という、どこかの国のプロパガンダのような息苦しさを感じてしまいます。

電車で熟睡する日本の女子高生

電車で熟睡する日本の女子高生

旅行に行くのであって、養子に入るわけではない

私たちは文化を体験し、景色を楽しむために旅に出るのであって、現地の家に婿入りしたり身売りしたりするわけではありません。なぜそこまで「外国人だとバレたくない」と必死になる必要があるのでしょうか。

私などはむしろ、自分が外国人であることを知ってもらいたいと思うくらいです。旅行者にとっても地元の人にとっても、「未知の相手」であるという適度なミステリアスさこそが興味を惹き、会話を弾ませる最高のスパイスなのです。

海外に行くと何でも新鮮に感じる一方で、実は自分の生まれ故郷のすぐ近所にも似たようなものがあったりします。海外の人とは熱心におしゃべりするのに、自宅のお隣さんとは10年間一言も交わしたことがない、なんてこともあるでしょう。

百歩譲って、そうしたマナーを説く在日インフルエンサー自身、日本の伝統的な上流家庭が求めるような厳密な箸や茶碗の扱い方を本当にマスターしているのかも怪しいものです(笑)。

文化の衝突とは?

ご存じの方もいるかもしれませんが、イタリアやギリシャなどの地域で相手に親指を立てるサイン(サムズアップ👍)をすると、侮辱とみなされて怒られたりトラブルになったりするリスクがあります。私たちにとっては「いいね」のサインですが、彼らにとっては中指を立てるのに近い侮辱表現とされるためです。

しかし、彼らがFacebook社に対して「👍をLikeアイコンに使うな」と抗議デモを起こしたという話は聞いたことがありません。

そもそも私自身、日常生活で誰かに向かってあれこれジェスチャーをする習慣があまりないので、なぜ旅先でむやみに手振りをするのかもよく分かりませんが🙄️。

また、私がまだ若かった頃、初めてインド人と食事をご一緒する機会がありました。彼が手作りの家庭料理を振る舞ってくれたのですが、料理を受け取った瞬間、私の頭は例の「文化的タブー」に囚われてしまいました。「確か、どちらかの手で食べるのは不作法だったはずだ……」と思い悩んだ末、結局間違った方の手を使ってしまったのです(いつもと違うからこそ意識しすぎて逆に間違える、という思考の罠です)。

それを見た彼が不思議そうに「どうして急に手を持ち替えたの?」と尋ねてきました。私が混乱した理由を正直に話すと、彼は大笑いして、インドの正しいテーブルマナーを丁寧に教えてくれました。教えてもらったらその場で学べばよいだけですし、それこそが互いの国を知る素晴らしい異文化交流の一幕になるのです。

文化的タブーに対するありがちな誤解

実のところ、いわゆる「文化的なタブー」の多くは、時代遅れの形式主義だったり、なぜ始まったのか当人たちすらよく分かっていない慣習だったりします。

合理的な理由があるものなら理解し尊重すればよいですし、無理やり理屈を後付けしたような細かなルールなら、軽く受け流せば十分です。そこは自分の母国ではないのですし、他人に同化しようと必死になって自信を失う必要はどこにもありません。

異文化のタブーをあれこれ予習してビクビクするよりも、私はもっとシンプルで効果的な向き合い方があると考えています。それは、 「心からの礼儀と、あらゆるものに対する敬意を持って、旅の途中で起きる出来事に向き合うこと」 です。

受け入れ、包容し、謙虚であり、そして笑顔を忘れないこと。

不満を漏らす前に、よく見て、よく聞くこと。自分の狭い価値観で相手を縛ろうとせず、目の前の現実に即して判断すること。これは異文化への向き合い方に限らず、私たちが日々の生活の中で身につけ実践すべき基本的な姿勢でもあります。

海外で自分の無知や習慣の違いから相手を不快にさせてしまったなら、不貞腐れたり大声で言い返したりせず、前向きに善意を示し、「教えてくれてありがとう、理解しました」と伝えればそれで解決します。

**もしそれでも執拗に絡んでくる相手がいるとすれば、それは文化の違いではなく相手自身の人間性の問題です。**その場合は無視するか、現地の状況に応じて毅然と対応するか、速やかに警察を呼ぶべきかを判断すればよいのです。

他国の生活習慣に合わせるために、自分自身の人格や尊厳まで不当に卑下する必要はありません(文化の衝突そのものではなく、どう対処するかという問題です)。それは対等で健全な人間関係とは言えません。

もっとも、中華圏は古くから「礼儀の国」を自負してきましたが、現代において古き良き礼節や作法をより美しく保存しているのは、皮肉にも日本の方かもしれません。私たちは日本人の礼儀正しさを羨むばかりで、自分たちが学びの姿勢を怠っていないかを省みるべきなのかもしれません。

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