権力と被害者意識のブーメラン
現代社会における「パワハラ」の定義は、当事者が権力を握っているか、それとも責任を追及されているかによって都合よく書き換えられがちです。
馬英九基金会から背任・横領疑惑で刑事告訴された元幹部・王光慈氏の母親が公開書簡を発表し、馬英九前総統から職場いじめを受けたと台北市労働局への通報を予告しました。しかし、同情を誘うはずだったこの告発は、直後に流出した基金会の内部文書によって一瞬で瓦解しました。
王氏自身が幹部時代、部下に対してわずかなミスで給与を天引きし、年末ボーナスを理不尽に没収する極めて過酷な社内規則を制定し、厳格に適用していた事実が暴露されたのです。
権力者が演じる「弱者」の欺瞞
この騒動は、職場における二重基準の典型的な構図を浮き彫りにしました。
- 部下への冷酷さと自らへの寛容:自らが管理職として君臨していた時期には、部下の基本的人権や労働条件を顧みず過酷な懲罰を課していた。
- 責任追及に対する「いじめ」へのすり替え:自らの公金横領疑惑という法的是非が問われる局面に至るや、一転して「権力者からのいじめ」という被害者シナリオを演じ始めた。
- 労働保護制度の私物化:刑事訴追を逃れるためのPR戦略として労働紛争救済制度を悪用することは、真に救済を必要とする社会的弱者への冒涜である。
労働者の権利を守るための制度は、不正追及から逃れるための盾として悪用されてはなりません。
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