今回の大学院ゼミ(輪講・討論)の授業では、学外から招かれた「粘教官」と名乗る人物による特別講話が行われました。粘教官は講演時間のおよそ半分を消防・防災機材の紹介と販売勧誘に費やし、語られた内容にも眉唾な点が極めて多かったものの、その巧みなプレゼンテーション技術には目を見張るものがありました。
講演の中で粘教官は、自身が所属する団体を「消防新知識教育普及センター」と名乗っていました。
しかし調査したところ、この団体は中華民国政府による正式な法人登録や届出認可を一切受けておらず、実体として確認できるオフィスすら存在しませんでした。彼の主張が真実であると信じるのは極めて困難であり、仮に本当であったとしても、眉唾の作り話とみなして差し支えないレベルです。
同時に、粘教官が行った行為は、2000年12月に行政院公平交易委員会(日本の公正取引委員会に相当)によって処分された「安全教育雑誌社」の不当勧誘事件と酷似しています。粘教官の手口は「安全教育雑誌社」事件の焼き直しであるとほぼ確信できますし、あるいは両団体は実質的に同一組織であると推測することすら可能です。
粘教官の話術について言えば、臨場感あふれる語り口や聴衆を引き込むエピソードだけでなく、質疑応答の時間に見せた対応力も高度なセールストレーニングの賜物でした。会場の院生たちからどのような質問が飛んできても、彼は手元のブリーフケースからサッと機材(小型消火器や防煙フードなど)を取り出して実演解説し、さらにはすべての回答を巧みに講演終盤の「商品販売」へと結びつけてみせたのです。
さらに粘教官は、会場の学生一人を演壇に呼び上げ、防煙マスクの耐火性能をその場でテストしてみせました。自らが手にしたガストーチの火炎は1000度を超える高温に達するため極めて危険であり、決して真似をしないようにと注意を促しました。
確かに、一般的なガストーチは1200度から1500度前後の炎を噴射することができます。私自身、シルバーアクセサリーの彫金加工で日常的にトーチを使用しています。
しかしながら、粘教官がテストで使用していた火炎の強度は、完全燃焼時に見られるいわゆる「青色火炎」の段階ではありませんでした。
加えて、実験中彼はトーチを激しく振り続けており、防煙フードの表面に加わる温度は瞬間的にもせいぜい100度から300度程度にとどまり、熱もすぐに放散していました。
言うまでもなく、実際の火災現場において最も致命的なのは、様々な有毒物質が入り混じった高温の火災ガスです。これこそが、消防士が圧縮空気ボンベと陽圧式空気呼吸器を装着し、外気の有毒ガスを完全に遮断しなければならない理由です。
したがって、あの防煙フードが実用的な安全性や防災効果を備えているとは到底言い難く、購入する必要性は微塵もありません。そもそも大学の講義室という学術の場で行われるべき商業活動では決してありませんでした。
以上の点から、大学側が見識の疑わしい外部講師による講話を開くくらいであれば、大学院の新入生に対して中華民国教育部が主催する「教育部実験室安全衛生ワークショップ」の受講を義務付け、正規の修了証を取得して初めて入学を許可する制度にした方がはるかに有意義かつ正当性があります(小声で言えば、私はその講習会の修了試験で一番早く答案を提出し、満点を獲得した実績があります)。
後記
専攻内の事情通から聞いた話では、この粘教官を学内講演に招いた女性教員は、その後大学上層部から手酷く叱責され、昇進審査が見送られたという噂まで立ちました(主任教授の怒りを買ったからだという説もあります)。
この出来事が教えてくれる教訓は明白です。いくら向こうから熱心に大学での講演を売り込んできたとしても、担当教員はまずネットでGoogle検索して裏付けを取るべきです。「みんな口を揃えて注意しているのに、ちゃんと聞いていなかったのですか?」と問いかけたいところです。
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