少し前、日常使いできるスナップカメラを探していた頃、高い評価を受けていたリコーの「Ricoh GR3」シリーズに目をつけていた。
この軽量コンパクトなデジタルカメラは、卓越した描写力、携帯性の高さ、素早い起動速度、そしていつでも手軽にスナップ撮影できる取り回しの良さで抜群の定評がある。
ところが、すでにGR3を使っていたある友人は、僕の検討を聞きつけると誇らしげにこう言い放った。「僕らカルチャー系のGRは、独立系書店やクラフトマーケットにこそふさわしい。」
その言葉を聞いた瞬間、僕の心は激しくざわつき、Ricoh GR3に対する情熱は一気に氷点下まで冷め切ってしまった。思わず「カルチャー気取りはお前だけにしてくれ!」と言い返したくなったほどだ。
いまや世間に溢れかえる「サブカル・文青(カルチャー系)」というレッテルは、自らのアイデンティティや存在意義を誇示しようとするあまり、かつて文学やアートを愛していた素朴な風情を失い、やや鼻につくネガティブな記号へと変質してしまった感がある。
もちろん、Ricoh GR3というカメラ自体には何の罪もなく、極めて優秀な名機であることは間違いない。しかし、サブカル的なステータスとしての過熱や投機的な買い占めが重なり、ここ数年の価格高騰はまるで手綱を失った暴れ馬のように跳ね上がっている。
新品の国内実勢価格が5万台湾元(約20万円)近くまで跳ね上がっているだけでなく(MOMO)、さらに驚くべきことに中古市場ですら3万台湾元台の高値で取引されているのだ(Shopee)。
カルチャー系のおしゃれ気取りを気取るための対価は、どうやらとんでもなく高くつくらしい。
しかも近年、各カメラメーカーから魅力的なコンパクト機が続々と登場している。長年保守的だったニコン(Nikon)ですら時代の潮流に乗り、Zシリーズでミラーレス市場に本格参入しつつ、見ているだけで物欲を刺激される「Z fc」を投入してきた(商品参考)。
Z fcは厳密な意味でのポケットコンデジではないものの、往年の名機FM2を受け継ぐあのクラシックな佇まいは、私の心を完全に撃ち抜いてしまった。
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