子どもの頃、写真愛好家たちが赤外線フィルムを使って撮影した幻想的な作品を見て以来、いつか自分でも赤外線写真を撮ってみたいとずっと思い続けていた。しかし当時は専用の赤外線フィルムを購入しなければならず、インターネットによる情報流通が乏しかった時代には入手ルートを探すだけでも一苦労で、しかも非常に高価だった。
ネットのなかった昔は、一次情報を手軽に入手することが難しく、趣味を始める第一歩を踏み出すことすら大きなハードルだったのだ。
デジタルカメラが普及した現代では、搭載されているイメージセンサー自体は本質的に赤外線スペクトルを捉える能力を備えている。ただ、日常の撮影で正確な色合いと画質を維持するため、メーカー側がセンサー前にローパスフィルター(赤外線カットフィルター)を取り付けて受光を遮断しているに過ぎない。
そこで今回は、自宅に10年ほど保管されていた古い「RCA」ブランドのデジタルカメラを引っ張り出して分解練習を行うことにした。まずはデジタルカメラの基本構造をしっかりと把握しておき、ゆくゆくはより高性能な機種を改造する際の失敗確率を減らすためだ。
このデジカメには少し不思議な点があり、底面に「Inventec Offer Product」と書かれたステッカーが貼られている。中華民国台湾省の英業達(Inventec)グループが贈答品やノベルティとして発注・製造した製品だったのかもしれない。
もっとも、このカメラは室内で数回試し撮りした程度で、屋外へ持ち出して本格的に撮影した記憶はほとんどない。当時としてはそれなりに立派なデジカメだったはずだが(笑)、やはり銀塩フィルムへの愛着には勝てなかったのだ(拳を握りしめながら)。
以下の写真は、分解から再組み立てに至る全工程の記録である。最終的に組み直した段階で、机の上に余ったネジはわずか3本だけだった。これは分解作業としては上々の出来と言えるだろう(おいおい!)。
ローパスフィルターをフィルムに置き換えたデジタルカメラで撮影したところ、無限遠(遠景)のみピントが合い、それ以外の距離ではほぼ全体が激しくピンボケする結果となった。
その原因を探ってみると、取り外したローパスフィルターと同じ屈折率と厚みを持つガラス(例えば専用の赤外線透過フィルターや透明光学ガラス)で置き換えなかったため、レンズの結像面と受光素子(センサー)の位置関係に光路長の誤差が生じ、ピントが合わなくなったのだと考えられる。一眼レフカメラならレンズ側で焦点を微調整できるが、コンパクトデジタルカメラではそうしたマニュアル調整が一切効かない。
もっとも、この記事を書き上げた後に気づいたのだが、そもそも自作したフィルムフィルターを挟み込む位置自体を間違えていた可能性もある(おいおい…静かに再分解中)。
2015年にこの記事を読み返して疑問に思ったのだが、当時の自分はなぜ「現像済みフィルム」でIRフィルターの代用ができると考えたのだろうか?ネットで改めて調べてみても、現像済みフィルムが透過する光の波長域に関するデータは見当たらず、今となってはすっかり羅生門のような謎になってしまった。
RCA デジタルカメラ主要諸元
- ブランド名:RCA
- 型番:CDS6300
- 画素数:230万画素(2.3 Mega Pixel)
- 製造会社:Thomson Multimedia Inc.
- 原産国:マレーシア(Malaysia)
独自の視点と客観的な報道を、あなたの温かい支援で
表面的なトレンドやアルゴリズムに流されず、事実と深い洞察に基づいた独立した記事をお届けし続けるために。
質の高いオリジナル記事と独立した運営を続けるため、1回のみ、または毎月のご支援をGoogleの安全な決済でお願いいたします。
お支払いはGoogleにより安全に処理されます · いつでも管理・解約できます






























コメント