大晦日から始まる旧正月(春節)の大型連休が近づくと、多くの人が「紅包(ホンパオ:お年玉やお祝い金を包む赤い祝儀袋)」の準備に取り掛かります。紅包を配り慣れたベテランの方も、もらう側から渡す側へと仲間入りした新社会人の方も、中華文化圏で千年以上受け継がれてきたこの習わしにおいて、「誰にいくら包めば礼儀を尽くしつつ、自分の懐事情も守れるのか」と頭を悩ませることがあるのではないでしょうか。
実は、台湾の旧正月の紅包には一般的な「相場」が存在します。結婚式の祝儀と同様に、渡す相手との関係性の深さによって目安が決まってきます。
祖父母への紅包:3,600元〜6,600元
自身の祖父母へ渡す場合は、3,600台湾元、6,000元、あるいは6,600元あたりからスタートするのが一般的です。
この金額帯であれば、孫としての礼儀を十分に果たせるだけでなく、出費を一定の範囲に抑えられます。何より「孫から多額のお金を受け取るのは気が引ける」という年長者の心理的負担を和らげる配慮にもなります。
両親・義理の両親への紅包:6,000元〜10,000元以上
もっとも支出が大きく、自身の財布が痛んでも体面を保ちたいのが、実の両親や義理の両親(義父・義母)へ渡す紅包です。一般的な相場としては、最低でも6,000元、6,600元、あるいは10,000元以上が推奨され、経済的に余裕があれば多いに越したことはありません。
親戚・知人の子どもへの紅包:200元〜1,000元
親族や親しい友人の子どもなど、自分より若い世代に渡す場合は、600元または1,000元程度が相場です。ご近所や同僚の子どもには、200元や600元を入れた紅包をいくつか用意しておき、状況に応じて気軽に手渡すのがスマートです。
自分の子どもへの紅包:1,000元〜3,000元
自身の子どもに渡す金額は、年齢や学年に応じて決めるのが通例です。1,000元、1,200元、1,600元、2,000元、3,000元などが一般的な家庭でよく見られる金額設定です。
金額の吉凶と数字のルール
ここで紹介した相場は、現代の台湾社会における一般的なコンセンサスに基づいています。全体の経済情勢や縁起を担ぐ風習、さらには流通している紙幣の券種などが影響しています。
これらの金額はあくまで参考の目安です。経済的に余裕があればいくら上乗せしても喜ばれますし、逆に経済状況が厳しい場合は、少額の紅包(数字は縁起の良い偶数を選ぶ)に心のこもった贈り物や温かい言葉を添えるだけでも十分です。もっとも大切なのは相手を思いやる気持ちです。
ところで、「1,000元や3,000元は奇数ではないのか? 慶事では偶数が基本ではないのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
実際には、慶事で避けられる「奇数(一般に香典などの白包に用いられる)」は、主に「百の位」を指します。例えば1,100元、2,100元、3,100元のような端数のある金額はおめでたい新年には適しません。
1,000や3,000が許容されている背景には、紙幣の額面と生活習慣が融合した暗黙の了解があります。もし厳密に偶数にこだわりすぎると、3,000の上の「4」は不吉な数字として使えず、次の「5」も奇数で飛ばすことになり、2,000元の次は一気に6,000元に跳ね上がってしまいます。これでは多くの人の財布が悲鳴を上げてしまいます(笑)。
天の声:世界中の子どもたちが受け取った紅包を、両親が「口座を作って貯金してあげるからね」と預かったまま二度と戻ってこないという歴史的ミステリーについては、本稿の対象外といたします。
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