海外メディアの報道によると、米連邦取引委員会(FTC)は米アマゾン(Amazon)に対し、音声アシスタント「Alexa」[1]および家庭用見守り・防犯カメラ「Ring」[2]における深刻なプライバシー侵害を理由として、総額3,080万米ドル(約43億円相当)の罰金・制裁金を科すことで和解合意に達しました。

そのうち2,500万ドルは、Alexaにおいて子どもの音声録音データを長期間にわたり違法に保持し、保護者による削除要求を妨害していたことによる児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)違反に対するものです。FTCのサミュエル・レヴィーン(Samuel Levine)消費者保護局長は、「アマゾンは保護者を欺き、子どもの録音データを無期限に保持し、削除要求を無視し続けた。この行為はCOPPA法違反にとどまらず、プライバシーを犠牲にして利益を追求したものである」と厳しく糾弾しました。

連邦裁判所の命令により、アマゾンは未アクティブな子どものアカウントデータ、位置情報、音声録音を含む収集済みデータの削除が義務付けられました。さらに、これらのデータを機械学習アルゴリズムの訓練に使用することが禁止され、データ保持に関するポリシーを顧客に開示することが求められています。

さらに深刻な問題として、Ringの監視カメラで撮影された個人の私的映像を、あらゆる従業員や外部委託業者が自由に閲覧・監視できる杜撰な体制が敷かれていたことが判明しました。FTCの告発によると、ある従業員は数か月にわたり、女性ユーザーの寝室や浴室など自宅内の極めてプライベートな空間に設置されたカメラ映像を数千件にわたって覗き見していました。この不正行為は、別の従業員が発見して通報するまで放置されていました。

またアマゾンは、ユーザーへの十分な告知や同意なしに録画データを製品改善に使用していただけでなく、Ringのアカウントを保護するための十分なセキュリティ対策を怠っていたとFTCから指摘されています。この極めて杜撰な管理体制により、ブルートフォース攻撃やクレデンシャルスタッフィング攻撃を許し、悪意ある第三者がアカウントを乗っ取ってプライベートなカメラ映像に不正アクセスできる状態に陥っていました。

報告によると、ハッカーはカメラ映像を盗み見ただけでなく、Ringの双方向通話機能を利用して、監視対象の高齢者や子どもに嫌がらせや脅迫を行っていました。子どもに向けて人種差別的な暴言を浴びせたり、性的な嫌がらせをしたり、身代金を支払わなければ危害を加えると脅迫する事案まで発生していました。

推計によると、2019年1月から2020年3月までの間に、アマゾンの不十分なセキュリティ管理によって5万5,000人以上の米国ユーザーのアカウントが不正侵入を受けたといいます。

これらの和解案は裁判所の最終承認を待つ必要がありますが、アマゾン側は「顧客とその家族に対する責任を極めて重く受け止めている」としつつ、「顧客のプライバシー保護のための措置を常に講じており、厳格な内部統制を維持している」とコメントしています。

付録

  1. Amazon Alexa - All New Echo Dot
  2. Amazon Ring シリーズ製品
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